きっかけはすぐそこにあるかも? さあ、DOON!な一歩を踏み出そう
【DOON!ローンチイベントDAY1 レポート】
3/16(水)、大学生向けポータルサイトDOON!のリリース記念イベントDAY1として、「DOON!とススメ!~新しいスタートを切りたい大学生へ~」を開催しました。会場は神戸三宮にあるANCHOR KOBE(アンカー神戸)。地上15階で眺めがよく、開放的な雰囲気の中、イベントは進みました。
◎未来の約8割は偶然から決まる。今日の偶然を大切に
最初に司会の北野貴大さんがDOON!についての説明を行いました。DOON!は関西の15大学が連携して作っているサイトです。15大学間で相互受講できる授業やイベント、インターン情報などが検索でき、例えば京都大学の学生が神戸大学の授業を受けることも可能。その他、研究室紹介や先輩に聞いてみたことなどの記事を掲載し、大学生の生活に役立つ情報をお届けしていきます。
ところで、なぜ15もの大学が連携してこのサイトを作っているのでしょうか?そこには、学生を応援したいという大人たちの思いがありました。北野さんは「ある調査によると、人のキャリアの約8割は偶然の出来事によって決まるそうです」と話しました。「なかなか思い通りにいかないこんな時代に、偶然を勝ち取るためには一歩行動してみる。偶然を引き起こし、必然に変えていくパワーが必要になるのではないかと思っています。そんな新しい一歩を踏み出したい学生に向けてこのサイトを作りました。よければ一緒にDOON!とやっていきましょう」
全体司会:北野貴大
JR西日本SC開発株式会社 ルクア大阪事業本部
大阪市立大学卒。在学中は、大阪長屋でシェアハウス兼ゲストハウスを企画運営し、東日本大震災の復興活動などコミュニティマネジメントなどを経験。2014年JR西日本SC開発株式会社に入社。天王寺ミオを経て、ルクア大阪で雑貨・コスメの店舗マネジメントやリーシングといった営業活動に従事。その後、販売促進を担当し、企画チームのトキメキ事業部を発足。妄想ショップなどの人気イベントを企画。
◎思い切って一歩踏み出した学生たちのリアルな気持ち
最初のプログラムは、学生によるプレゼンテーション&トーク「実践型教育プログラム Pre Startup Studio(プレスタ)成果発表会」です。
皆さんは、スタートアップスタジオという言葉を聞いたことがありますか。スタートアップは起業、スタートアップスタジオは起業したい人を応援する場や環境のことです。Pre Startup Studio(プレスタ)は、“Pre”がついている通り、起業の前の段階。まだ起業まではいかないけど、何かをやってみたいという人に向けた神戸大学のプログラムです。今回は、プログラム参加者の中から3名が登場。自分が考えたプロジェクトや学んだことなどを話してくれました。
「フードロス削減に向けて何ができるかを考えた」 田代浩也さん
田代さんは、コロナ禍で飲食店への販売が減り、野菜が出荷されずに捨てられるというニュースを見て、「大学で廃棄野菜を売ろう!」と思いつきました。個人店なら柔軟な対応ができるだろうと商店街を回ってみたものの、結果はうまくいかなかったそうです。理由の一つは、個人店だからこそ商品が余らないよう仕入れなどに工夫していること。もし、その日は売れ残ったとしても翌日に総菜に加工したり、おまけとして渡すなど、そもそも食品ロスが出にくいのです。もう一つは、「捨てる食品はありませんか」という考え方・聞き方が問題たったといいます。店にとっては捨てるつもりで仕入れた商品は一つもなく、どれも大切な商品です。店の人の思いと、一消費者としての考えにギャップがあったのです。
でも、田代さんは諦めず、改めて「なぜ自分はフードロスに取り組みたいのか」を考え直しました。思い出したのは小学生のころのこと。「腸炎で入院し、何日も食べられなくて辛い思いをしました。今、コロナ禍で困窮して食べられない人がいる。彼らを助けたいとの思いがあった」と気づいたのです。また、廃棄食品を売るのは法的にも難しく、無償で譲ってもらうには店側にメリットがないという課題もわかりました。
そこで、方向転換。消費期限の短い弁当や総菜を無償で提供してもらい、そのお礼に学生が店の宣伝や困りごとを手伝う「Re-supplyプロジェクト」を立案しました。今後の課題は、学生にどうやって配布するか、日によって提供数が変わるのをどうするか、など。このプロジェクトは現在も進行中です。田代さんは「協力者、求む!」と締めくくりました。
「独自のフリー素材でインターネットミームになる」 清武宏二さん
皆さんは、かわいいイラストが見つかるサイト「いらすとや」やアメリカのアーティスト、NEFFEXを知っていますか。どちらも著作権フリーの素材(イラスト、音楽)を提供しています。清武さんが目をつけたのが、このフリー素材。そして、インターネットを通して面白いネタが瞬く間に拡散するmeme(ミーム)という存在・現象でした。
その2つを掛け合わせて考え出したのが、動画サイト「GLEENSCLEEN」。清武さん曰く、黒タイツ激ヤバコンテンツとのことですが、合成しやすいグリーンバックを背景に全身黒タイツの男性が踊ったり、不思議な動きをしたりしています。合計12本の動画を作成。アクセス数を調べたところ、トップ5はアメリカ、インドネシア、インド、ブラジル、フィリピンと海外が占め、そのことが一番嬉しかったそうです。
ただ、冷静に考えるとヤバイというのも本音なようで、「動画を一つ作るたびに、黒歴史が積み重なっていくようだった」と清武さん。「自分のプログラムは高尚な考えも最終的な目的もありません。面白いと思ってくれる人が一人でもいれば目標達成です」。一方で、プレスタを通して新しいアイデアを世の中に出していく面白さを感じたとも話してくれました。ちなみに、「GLEENSCLEEN」はYouTubeやInstagram、Tiktokで展開中ですので、興味のある方はぜひ検索してみてください。
「大切な人の思い出をカタチにして残したい」 檜本結友さん
子どもの頃から家族に何度も助けられてきたという檜本さん。そんな大切な家族が亡くなったとき、思い出をカタチにして保管するにはどうすればよいのか? そこで考え出したのが、亡くなった人、死が近い人のフォトブックやビデオムービーを提供するカタログギフト「OMOKATA」です。
インターネット上に思い出を残すサービスなどはありますが、高齢者には難しいことがあるため、リアルに手にできるものがよいと考えました。
檜本さんは、亡くなった祖父のフォトブックを実際に作成し、祖母に贈ったといいます。家族旅行の写真などを集めた10ページくらいのフォトブックです。「祖母はとても喜びました。写真を見ながら加増の思い出を振り返ることができました」と檜本さん。昔旅行したときの写真と、再訪して同じ場所で撮影した写真を並べて貼ると、「タイムトラベルみたいで面白い」と好評だったといいます。この体験から、檜本さんは「フォトブックやビデオムービーそのものも大切ですが、それを通して思い出を語ったり、絆を深めるプロセスが大切だった」と気づいたと話しました。「今後は家族が一緒にフォトブックを作れるワークショップや、還暦祝いなどの贈り物も考えてみたい」と、新しいアイデアが生まれてきたようです。檜本の夢は、大切な人を持つ人にとって役立つ商品を企画すること。プレスタのプログラムを経験したことで、「その夢を叶えたいという思いが強くなった」と話しました。
3人の発表後は、Pre Startup Studio(プレスタ)を担当した株式会社Wの廣岡大亮を交えてのパネルディスカッション。起業なんて一部の学生だけというイメージがあるかもしれませんが、実は「いつかは起業してみたい」という柔らかな思いを持っている学生が多いことなどが話題になりました。
◎ある日、紙飛行機を飛ばしたら人生が変わった話
続いては、雰囲気もテーマもガラッと変わり、Taichi Deguchiさんを迎えてのゲストトークです。Deguchiさんはフリースタイルフットボーラーであり、“紙飛行機パイロット”でもあるクリエイター。生きているかのように紙飛行機を操る様子は見事で、まるで手品のようでした。
Deguchiさんがこの道に入ったのはまさに偶然。通っていた大学で紙飛行機の予選会「RED BULL PAPER WINGS.」があり、ふらっと軽い気持ちで参加したのがきっかけだったといいます。その予選には落ちたのですが、パフォーマンスを競う部門に動画で申し込んだところ、エアロバティック部門の日本代表に選ばれ、世界大会に出場。3位に輝いたのでした。
なぜ、その一歩を踏み出せたのか?という質問に対して、「レッドブルが好きだったのと、自分のパフォーマンスをただ見てほしかったから」とDeguchiさん。「“一歩を踏み出す”というと勇気のいること・大変なことのように聞こえますが、何気なく出した一歩が実は大きな一歩だったり、他人から見ればすごいことだったりするのかも」と話しました。
また、「ものごとはなかなか思い通りにならないけど、なるようにはなる。自分もレッドブルの学生社員になりたかったのですが、面接が苦手で不通に落ちました(笑)。でも、落ちたからこそ今がある。世界大会に行けて、この未来につながりました」と、大学生にエールを送ってくれました。
Taichi Deguchiさん
クリエイター
和歌山県出身。近畿大学経営学部卒。高校生で始めたフリースタイルフットボールを通じてRed Bullを知り、その世界観のファンとなる。大学生時代に、紙飛行機の世界大会「Red Bull Paper Wings 2019」にエアロバティックス部門の日本代表パイロットとして出場。紙飛行機を自由自在に操るパフォーマンスで3位にランクインする。
◎紙飛行機に思いを乗せて、皆でDOON!と飛ばしてみた
この日最後のプログラムは「DOON!な一歩を紙飛行機にして飛ばす」ワークショップ。キャリアやライフデザインの専門家として活躍する平山さんをファシリテーターに迎え、大学生活で踏み出したいDOON!な第一歩を掘り起こしました。
やり方は簡単なので、皆さんもトライしてはいかがでしょうか。必要なのは2枚の紙とペンだけ。まず1枚の紙に、やってみたいことや好きなことをどんどん書き出します。
他の人が書いたものを見て、いいなと思ったら追加してもOK。「コロナ禍だから」とか「お金がないから」という制限を外し、20個でも30個でも自由に書いていきます。その中から、すぐにでも挑戦したいこと・やりたいと強く思うことを1~3個選び、もう一枚の紙に書き出します。それが、あなたのDOON!な第一歩です。
会場では、Deguchiさんのレクチャーを受け、DOON!な第一歩が書かれた紙で長く飛ぶ紙飛行機を作りました。それぞれの思いを乗せた貴重な紙飛行機。最後に、「3・2・1・DONN!」の掛け声とともに皆で一緒に飛ばしました。
ファシリテーター 平山裕三
株式会社はぐくむ プロフェッショナルコーチ / ファシリテーター
神戸大学 法学部 非常勤講師
大学卒業後、ソフトバンクにて法人営業を担当し、東京エリアで1位の成績を収める。また、孫正義氏の後継者を育てるソフトバンクアカデミア第1期生にも選出される。ソフトバンク退社後、はぐくむへ入社し、現在は、“LIFE DESIGN SCHOOL”でファシリテーターを務める。また、大学生以外にも、主婦・起業家・LGBT活動家などにプロフェッショナルコーチングを提供。約8年間、年間500人以上にコーチングやキャリアカウンセリングを行っている。
<参加者の声>
同世代の学生の発表を聞いて刺激を受けました。一つひとつは小さなことでも、確かに言われてみたらなかったことを自分で考えて、実際に行動に移して、発表することがすごいと思いましたし、学べることも多かったです。実はイベントの内容をよく知らずに参加したのですが、ここに来たこと自体が一歩踏み出すことになったかなと。来てみたら面白い仲間に会えました。コロナ禍で人と会うのが難しい中、貴重な機会になったと思います。
志賀慎之介さん
このような場に初めて参加したのですが、よい意味で柔らかくて身近だと感じました。「GLEENSCLEEN」も面白かったし、とても楽しめました。こういうイベントはもっと格式ばっているというイメージがあって、自分で勝手にハードルを高くしていたようです。今日参加しみたことで、一歩踏み出せるような気持ちをもらいました。どんどんやってみるのが大切だと思いました。
前田悠翔さん